ドイツで9/26~29に開催されているフォトキナで「LUMIX Sシリーズ」が発表されました。
そもそも「ミラーレス一眼」は2008年、パナソニックが出した「LUMIX G1」がすべてのはじまりです。
それからちょうど10年、レンズ交換式カメラはマイクロフォーサーズ一筋だったので、最初「パナソニックがフルサイズミラーレスを出す」という噂を聞いた時、今頃フルサイズに行くのか?という部分では俄かに信じがたかったのですが、ニコン・キャノンが新規参入するというタイミングであること、8Kを見越すならマイクロフォーサーズでゴリ押しするより、4倍のサイズのフルサイズで8Kを展開するほうがやはりスムーズだったのでしょう。
今回の発表ではミラーレスのパイオニアであるパナソニックの練りに練った戦略が見て取れます。
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マウントはライカLマウント
まず、新規マウントではなく「ライカLマウント」(内径 48.4mm、フランジバック20mm)を採用しました。
Lマウントは大きすぎず、APS-Cにも最適であるとのことなので、今回の「S1」シリーズ以外にもライカTのようなAPS-Cで10万前後のモデルも出てくるでしょうね。
ライカ、パナソニック、そしてシグマの3社がレンズを提供
マイクロフォーサーズのLUMIXレンズでも最近どんどんと LEICAブランドのレンズを出しており(パナソニックが設計・製造>ライカがチェック)、両社、蜜月関係であることは知っている方も多いでしょう。
実際「パナソニック」は元々カメラ・レンズメーカーではないため、特に繊細な技術を要求されるレンズでは「パナソニック」自身だけ抱え込まず、他社と共同で補いあうのはマイクロフォーサーズ時代からそうでした。
なので「パナソニック」×「ライカ」はまぁ理解できるのですが、さらに「シグマ」もアライアンス(提携)がビッグニュースです。
もちろん「シグマ」もすでにLマウントにレンズを出す予定に入っており、3社であれば、幅広い価格帯や画質のレンズや、用途に合わせたカメラシステムの選択肢という恩恵をユーザーは受けることができます。
現時点でライカLマウント既存の8本のLEICAレンズが使えますがとても高価なため、「パナソニック」からも「50mm F1.4」「24-105mm F値不明」「70-200mm F値不明」と大体の画角はまず揃えるようです。さらに発売後1年ほどで10本のレンズを予定。
さらに「シグマ」もレンズを発表していくとのことです。今のところあくまでレンズということですが、「シグマ」自体がSAマウントを捨て、Lマウントでの本体についても参画するという噂もあります。
【追記】Foveonセンサー(三層センサー)を搭載したフルサイズミラーレスカメラを発売すると発表しました。
「LUMIX S1」「LUMIX S1R」ボディについて
これまでのLUMIX Gシリーズと同様の機能を搭載
ライナップは「LUMIX S1」が24MP、「LUMIX S1R」が47MP。
動画は4K 60p。
手ぶれ補正「Dual I.S.」でボディ内+レンズ内のダブルで手振れ補正するため暗所でも強いはず。
AFは基本コントラストAFをベースにして、GH4以降進歩してきた「DFD(ピントの異なる画像から空間を認識し、被写体までの距離を瞬時に計算する)」を使った「空間認識AF」も引き続き搭載。さらにAIによって学習していく…今は流行のあれです。
全体的なデザインとしてはG9を大きくした感じ。
ジョイスティック、ファンクションレバー、前面ファンクションボタンなどもちろん多少の違いはあれど瓜二つです。
ただフルサイズだけに男性の手でがっちりホールドできそうな感じですね。
その他目立つポイントをピックアップしていきましょう。
アイカップが丸い
これまでGHから続く一眼レフっぽいデザインの場合、台形っぽい形が多かったですが、丸型アイカップでフラグシップ機っぽい装いです。
メモリーカードはXQD+SDのダブルスロット
恐らくニコンもキャノンもmark2で対応するつもりだとは思うのですが、どちらも高級路線機にも拘わらずなぜか搭載されておらず、批判の対象になっていました。α7もすでにダブルスロットなのになぜ省いた・・・。
しかもXQDとのダブルスロットということで、比較的速度が早いXQDで基本は記録し、SDでバックアップ…といった仕事使いが可能かと思います。
特に規格的にはパナソニック・サンディスク・東芝が主体となって立ち上げたSDカードではなく、サンディスク・ソニー・ニコンが立ち上げたXQDを採用したことが注目です。
そのあたり手段は問わず、手を一切抜かないという意思を感じます。
液晶が三軸式チルト
伝統的なバリアングルではなく、ただのチルトでもなく、「三軸式チルト(3-axis tiltable LCD)」だそうです。
詳しい情報がなく、αシリーズのような下方向なのか、富士フィルムで採用されているものなのか明確な写真などはなかったですが、恐らく富士フィルムのような方向?
だとするとバリアングルのように光軸からずれた位置に液晶がこないため、よりスチル向けという印象ですね。
なので自撮りのようなことは恐らくできないっぽい?
防塵防滴でハードな環境でも使用可能
ここ最近のカメラは防塵防滴はほぼあたりまえですが、GH5は日本人初「南極点無補給単独徒歩到達」の記録に貢献しました。
そのような環境でも耐えうる100%シーリングにより「-40℃」(!?)の環境でも使用が可能になるとのこと。
あのPentaxでさえ「-10℃耐寒動作保証」なので、ほんとだとしたらこれは脅威的です。
8Kはこれから
動画は現時点ではGH5以降と同様「4K 60p」。
残念ながら現在は8Kに対応していませんが、次の機種あたりで、2020東京オリンピックに向けて8Kは実現するつもりのようです。
そうなると恐らく8Kフォトが実装されるのですよね…写真ってなんだっけ?となりそう。
フルサイズが出たらマイクロフォーサーズはどうなる?
マイクロフォーサーズはそれほどスチルほどボケればいいってものではない「動画」ではまだまだ有用かつバランスが良いフォーマットだとは思います。
もともとパナソニックは動画と言うややニッチな層を狙いすぎてた部分もあり「写真」用カメラとしてはちょっと影が薄い存在でした。
なので写真メインならフルサイズ、動画メインマイクロフォーサーズという括りにもできるし、そもそも取り回しがしやすくかなり軽いマイクロフォーサーズと住みわけは十分可能ではないかと思います。
現にマイクロフォーサーズもまだやるアピールとして「LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm F1.7 ASPH」の開発発表もされました。
ミラーレス”しか”ないパナソニックの強み
と、以上が今回のパナソニックの発表内容ですが、先に発表済みのニコンとキャノンと比べてどうでしょうか?
ニコンもキャノンも「既存のレフ機ユーザー」に気を使っている感があります。
ニコンであればD850が相当売れてるようなので、ミラーレスにパイを取られると、どっちつかずになる恐れがあります。
これはレフ機を持っていることで抱えるジレンマかもしれません。なので、それで一旦メモリーカードをシングルスロットにしたのではないかと勘ぐってしまいます。
その点パナソニックはミラーレスのみですし、マクロフォーサーズとなら食いあうユーザー層ではないと思うので、全力でフルサイズミラーレスに注力することができるのではないかと思います。
いずれにしてもまだ「LUMIX Sシリーズ」開発中である段階で、発売も来年春になるため、カメラ的には所詮カタログスペックを披露したにすぎませんが、抑えるべき点はしっかりおさえた出し惜しみのないスペック、ライカで実績のあるLマウントであること、そしてパナライカシグマ同盟が繰り出すレンズ群…これだけでカメラ好きはワクワクしたのではないでしょうか。
とはいえこの分野では先駆者であるソニーが数年かけて揃えてきたラインナップにどう対抗していくのか、これからが見どころですね!